こんにちは。元キャバクラ店長のマツケンです。
キャバクラで働いているとよく耳にするのが太客・細客 という単語です。
太客とは夜の世界の業界用語のひとつで、たくさん来店してくれたりたくさんお金を使ってくれる太っ腹なお客さんの事を指します。
太客の対義語は細客と言って、来店頻度が少なくあまりお金を使ってくれないお客さんの事を指します。
“どうしてわたしには太客ができないんだろう?”
そう悩むキャバ嬢もいる位、キャバ嬢にとって売り上げというのは常に悩みのタネです。
1人に接客して1時間で100万使ってくれるお客さんがいたら精神的にも楽ですよね?
その為にキャバ嬢はみんな太客が欲しいと考えるようです。
一度にたくさんお金を使ってくれるお客さんが欲しいと考えてしまう気持ちはわかりますが、顧客に対してランク付けするやり方はリスクがあるのはご存知ですか?
今回は、太客ができないと悩むキャバ嬢に考えて欲しい3つの事について、書いていきたいと思います。
①太客と細客で区別をしてしまうと良くない理由
ちょっと考えてみて欲しいんです。
あなたが気に入ったお気に入りのレストランが、来店回数や食事の金額で接客態度を変えてきたらどう思いますか?

…どうですか?
「なんだこのお店、もう二度と来るもんか!」という気持ちになりませんか?
でも、太客と細客でサービス内容を変えるってわかりやすくいうとこれと同じです。
身内客に贔屓して、一見のお客さんを差別するようなレストランはだいたい潰れます。
キャバ嬢だってレストランと同じです。
そんなことをされて「俺も頑張って◯◯ちゃんにお金を使って今よりもいいサービスをしてもらおう!」と考えるようなお客さんなんていません。
- 接客態度
- 連絡頻度
- サービス内容
使ってくれている金額に応じてこの3つの部分に差をつけてしまうやり方は、まず細客が定着しません。
細客が定着していない状態で、運良くフリーで派手にお金を使ってくれるお客さんが見つかれば、そのお客さん頼りになる事は火を見るよりも明らかです。
人はお金を使えば使うほど相手に対して見返りや要求が大きくなります。
月に100万使うようなお客さんはキャバ嬢に100万円分の見返りを要求します。
その要求の中には肉体関係なんかの要求だって普通にあります。
それをはねのけるには、「このお客さんが明日から急にお店に来なくてもなんとかなる」という根拠のある自信が必要です。
お客さんだって足元をみているので、「俺がお店に来なくなってもいいのか?」という駆け引きは普通にしてきます。
それに負けて太客からの要求を飲んでしまうようなキャバ嬢は、最終的に飽きられて終わります。
「お金で落ちる女」だとバレた時、太客と細客の両方を失います。
太客にに依存するリスクはそこにあります。
②思ったよりもそのお客さんは太客じゃないかもしれない
LTVという単語を聞いたことはありますか?
LTVとは、Life Time Valueの略称でマーケティング用語の1つですが、これは顧客生涯価値を意味する言葉です。
キャバクラでいうと、ひとりのお客さんが自分がキャバクラをやめるまでに使ってくれる合計金額の事です。
仮に5年間キャバ嬢をしたとします。
月に2回来店して平均3万円使ってくれるお客さんのLTVは360万円です。
一方、月に1回来店して平均10万円使ってくれるお客さんのLTVは600万円です。
月に10万円使ってくれるお客さんの方が太客に見えるかもしれませんが、月に6万円使ってくれるお客さんがもう一人見つかれば、LTVは720万円になります。
また、月6万円使ってくれるお客さんの来店頻度が月に3回になった場合、LTVは540万円になるので月に10万円使わせるよりもハードル低く売り上げを伸ばす事ができます。
図で説明しましょう。

「こいつ毎回3万円しか使わないし適当でいいや」と考えるのがあまりにも愚かだという事がわかるはずです。
目先の売り上げに目が眩む前にLTVが何円になるかを考えましょう。
そうすれば「そこまで太客じゃないかも?」と冷静になれるはずです。
太客は切れやすいです。
ずっとそのペースでお店にお金を落としてもらうように仕向けるのは並大抵の努力では厳しいです。
1ヶ月100万円を使うお客さんが1人いるよりも、1ヶ月20万円使うお客さんを5人作った方が、指名が途切れた時のリスクを考えるなら安全です。
③今よりも売り上げをあげたいキャバ嬢がすべき事
太客がある日いきなり現れて、大金を使ってくれるという妄想をきっぱりと捨てましょう。
もしそんなお客さんが現れたとしてもそこにあなたの努力はないので、お客さんが切れそうになった時に焦る事になります。
キャバ嬢もお客さんもみんな歳をとります。
年月が経てば、それまで細かったお客さんが出世をして今よりもお店で使える金額が増えたりする事は普通にあり得ます。
逆に、それまでの太かったお客さんが結婚したり子供が生まれたりしてライフスタイルが変わった結果、今までのようにお金を使わなくなる事だって起きます。
今の状態のまま、変わらずにずっと働けるという事はありません。
出会いもあれば別れもあります。
お客さんがお店に来てくれる間、お客さんが望んでいるものがなにかを考えて提供するように頑張ってみてください。
それは太客がある日いきなり現れて大金を使ってくれるドリームを抱くよりもずっと現実的な努力です。
お客さんがお金を使うのはボランティアではありません。
お金を使いたくなるキャバ嬢だからこそ使うんです。
僕が好きなアメリカの実業家である、デール・カーネギーはこういう言葉を遺しています。
ビジネスで成功する一番の方法は、人からいくら取れるかをいつも考えるのではなく、人にどれだけの事をしてあげられるかを考える事である。
僕自身、この言葉を胸に抱いて日々仕事をしています。
「姫リクがあってよかった」と言ってくれる女の子達のおかげで僕は成り立っていますし、少しでも女の子達に気持ちよく働けるように僕も頑張りたいと思っています。
そういう気持ちって自然と相手にも伝わりますし、長く良い関係を続けられると思います。
その方が病みにくいですし自分の仕事に誇りを持つ事ができます。
長くキャバ嬢を続けて行きたいなら、自分の仕事に誇りを持つってめちゃめちゃ大事です。
とはいえ、バレンタインのチョコは全員に高い物をあげなくて良い
太客と細客を区別するなという話を延々と述べましたが、バレンタインチョコに関してだけいうなら区別してもいいと僕は思っています。
単純に考えて指名になったばかりのお客さんにいきなり5000円のチョコをあげても、ただの自己満足にしかなってません。
「え、俺が一番太客なの?◯◯ちゃんってそんなに売れてないの?」と引かれる可能性もあります。
お客さんがキャバ嬢からのチョコレートに求めているものはチョコの値段ではありません。
そのチョコへの物語を求めています。
注意してほしいポイントは言い方です。
こんな言い方をしたらたとえそれが5000円のチョコレートであっても、0円以下の価値です。
なんの物語もありませんしわざわざ取りに行きたくもありません。
といった物語をちゃんと用意しましょう。
チョコレートの金額が違っても、あげ方やシチュエーション次第で全然お客さんを喜ばせることはできます。
「常に去年の自分が渡したものよりもいいものを渡す」というのは、お互いの関係のマンネリ化を防止できます。
なので、金額に差があったとしてもチョコを渡す時の価値を高める物語に手を抜いていなければお客さんは離れません。
ただチョコレートをあげるという行為を目的化するのはやめましょう。
まとめ
今回は、太客ができないと悩むキャバ嬢に考えて欲しい3つの事についてお話ししました。
太客を作って太客に頼ってノルマをこなす営業の仕方は、1人のお客さんへの依存度を高めます。
非常にリスキーです。
そのお客さんが離れていきそうになった時にそれまでの売り上げをキープする事ができないという精神的な焦りは、余裕がなくなって細客のお客さんも離れていってしまうことになりかねない為注意が必要です。
太客を作るよりも細客と向き合って手をかけて、じっくりと関係を深めて行き無理のない範囲で月に使ってくれそうな金額を増やしていくことを考えましょう。
細客を育てていけば、全てのお客さんを太客にする事ができます。
太客ができないと悩むより、今いる細客の求めていることは何かを考えて月に来てくれる来店回数や支払い金額をあげる為に頑張ってみてください。